お金を英語で言うと「dough」です

「お金」を英語で言うと「dough」ですが、これは実に面白い発想だと思います。ちなみにお馴染みの「money」や現金である「cash」などの言い方もありますが、俗語として使われるのが「dough」です。元々パンなどの生地のことを言うときにも使われる言葉ですが、お金として使われるのは主に小説や映画などでのことが多いですね。あの有名なサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」では何度もお金のことを「dough」と主人公が言っているのですが、とても印象的な言葉でした。

元々パンやクッキーなどの生地のことをdoughというのもそこまでお金と無関係のことではなく思えてきます。パンは食べ物の象徴であり、生きるために必要なものです。そしてお金も同じく生きるために必要なものです。従ってお金のことをdoughと言うのは生きるための源、という意味で生きるための「生地」という概念とそこまで無関係ではなく思えてきます。正式にそう言われているわけではありませんが。

私は小さい頃、母親とクッキーやパンを一緒に作ることがありました。その度生のままの生地を少しつまみ食いする癖があったのですが、その度「やめなさい」と叱られていましたね。でもその生の生地が実に不思議なことに美味しかったのです。今でもアメリカでは「クッキー・ドー」と言ってクッキーの焼く前の生の生地がアイスクリームの味として大人気ですし、アメリカに旅行に行った際にはスーパーで「食べられるクッキー・ドー」と言った、そのまま食べても焼いて食べても大丈夫であるクッキの生地が冷蔵食品コーナーで売られていました。やはりアメリカの子どもも生のクッキー生地を食べることが好きなようです。

もちろん生で食べることはあまり衛生的ではなかったりお腹を壊す恐れになる場合もあるかもしれませんが、それでも美味しいですし食べられることは食べられるのですよね。なので例え火を通すための器具がなかったとしても、生地だけで食べることは十分可能です。アメリカの卵は生で食べることは避けるように言われていますが。

生きるためのパンの生地、そして生きるためのお金、両方とも「ベース」である「生地」であることは実に興味深いです。喋り言葉であまり使われることはないものの、経済状況が強調される際にdoughという言葉が小説やドラマなどで使われたときにはその状況がより深く伝わってきます。

人間が生きるために必要な空気、水、パンなどと共に、それらを手に入れるためのお金であるdoughという言葉には実に深みを感じてしまいます。